|
【状況シーン】 ある新入社員が、先輩社員と営業に出かけたときのことです。値段の交渉もほぼ終了し、相手も片手で自分の鼻をしきりとつまみながら「まぁ、いいか」と口にして契約する寸前までいった。もう契約をとれたと判断した新入社員は契約書を差し出そうとしました。そのとき、先輩社員がそれを押しとどめ、さらに契約金額の端数を切り捨てることを提案した。それはどうして? 【商談相手の本心・心理】 先輩社員は、相手を納得させ、契約書にサインをさせるにはもう一歩が必要であることを察知したのです。 ★人は、何かに納得していなかったり、あるいはもう聞きたくないと感じているような場合、つい、上唇をまくりあげるように持ち上げたり、下唇をせり出したりするものです。そして、その不快感を隠すために、たとえば片手で自分の鼻をつまむなどの行動をとって、口の周辺を隠そうとするものです。 おそらく、先輩社員は、相手が「まぁ、いいか」と言いながらもしきりと鼻をつまんでいることに気づき、さらに相手が口のまわりを隠そうとしていた表情から、今ひとつ納得していないことを読みとったのでしょう。 もし、新入社員が契約書を差し出して、早急に契約を迫っていたら、相手から「やはりいったん預からせてくれ。もう少し考えてみるから」といわれる可能性が高かったのではないでしょうか。 そうなると、せっかく「契約してもいいかな」という気持ちに傾いていた相手の気持ちがいったん振り出しに戻ってしまうことになります。あるいは、ライバル他社に横取りされてしまう可能性も出てきます。そこで、先輩社員は、すかさず契約金額の端数を切り捨てるという、ダメ押しのカードを切ったのです。 |
|
|||
Copyright (C)2015. 一瞬で見抜く性格・本性・心理 All rights reserved. |